
デポー39が少しだけ他のアンティークショップと違っていたところとして胸を晴れることに、アンティークに一手間加えてオリジナリティのあるものを、沢山作っていたことでしょうか。
例えば、このボビン(糸巻き)のランプ。そのほかにも子供の靴の木型で、チャーミングな壁付けランプを作ったり、今でこそ良く見られるようになりましたが、アメリカの子供服を模したポットホルダーや、レースの小さなボンネットを額に入れたり...。
古いフックを古材に取り付けてコート掛けを作ったのも、多分デポー39が最初だと思います。買い付けをしているとき、こういうアイデアが次々と頭に浮かんできた時期があります。
今思っても良くあれだけのアイデアが出たものだと自分でも感心してしまいます。

右の写真は、アメリカの古い紡績工場の閉鎖に伴い、使わなくなったボビンが大量にアンティークショップに流れてきたものです。今から30年以上前のことです。
その頃日本には卓上ランプの種類が少なく〔これは今でもそうだと思います...〕、始めてこのボビンを見たとき、すぐにランプを作ったらとひらめきました。
幸い器用な男性を知っていて、彼に説明したところ、数種の金具があれば出来るとのこと。
当時商売に未熟だった私は、金具を一から作ることが、どれほどお金がかかることかを知らないままに、「Go」サインを出してしまいました。同時に靴の木型のランプ用の金具も。
金具って、10 個作るのも 100 個作るのも、それ程値段は変わりません(元になる金型を作るのにお金がかかるのです)。しかも両方あわせると必要な金具は 5 種類。
無知の恐ろしさ」としか言いようが無いくらい無謀でしたね。
でも、幸いなことにこのランプ 2 種は、デポー39 のロングセラーになりました。
閉店までの 20 年間で何回金具の再発注をしたことでしょう。最初にかかった大きな金額の金型代は当然回収できました。
デポー39を閉めてから、どこかのアンティークショップで同じようなものを作らないかと期待していたのですが、私の知る限りでは、どこもやっていないようです。
やはり最初にかかるお金の大きさに、皆さん二の足を踏むようです。
でもその気持ちも解ります。色々な商売の仕組みがわかるようになった今だったら、私でもちょっと怖いと思うかもしれません。
古びたペンキの色合いがなんとも味わい深く、シンプルなのに存在感のあるランプです。
何度も何度も塗りなおして、ぽってりと厚みの出たペイント物に、心惹かれます。
イギリスの古い小さなB&Bに泊まって、窓を開けようとしてもペンキで固まってしまって開かないなんて経験はありませんか。窓枠も厚いペンキで丸みがでています。
気をつけて剥げ落ちた部分を見ると、過去のペイントの色が何層にもなっていて、まるでマーブルチョコレートのよう。
ペンキには「つや」有りと「つや」無しがあります。古い「つや」有りペンキが塗られた家具や椅子の魅力を認めつつも、日本の人は、何故か新たに塗るときは「つや」無しペンキを選ぶことが多いようです。
「つや」という言葉が、どこかてらてらしたイメージを喚起してしまうのでしょうか。
八ヶ岳の麓に山小屋を作って十数年。この間一度だけペンキを全て塗りなおしました。勿論「つや」有りで。でも、2度の塗りなおしでは、私の好きな「ぽってり」感は、まだ出ません。
あと何回塗りなおせば、イギリスの古い家のような風情になるのでしょう。
この鏡の枠も、「つや」ありペンキで数回塗りなおしたあとがあります。歳月がよい具合に「つや」を消していて、なんともいえない魅力があります。














